バーンスタインのウエストサイドストーリー
最近、あのスピルバーグ監督がミュージカル「ウエストサイドストーリー」をリメイクしたことで、話題になりましたね。
今年のアカデミー賞の作品賞、監督賞にノミネートもされているようです。
さて、もともとウエストサイドストーリーはミュージカル作品で、1961年に実写映画化されたウエストサイドストーリーも当時のアカデミー賞の数々の賞を総なめにした、まさに不朽の名作です。
ウエストサイドストーリーと言えば、音楽の素晴らしさも語らないわけにはいきません。みなさんご存じ、巨匠レナード・バーンスタインが音楽を担当しています。
「ウエスト・サイド・ストーリー」からシンフォニック・ダンス バ―ンスタイン 1976
指揮:レナード・バーンスタイン 演奏:ニューヨーク・フィルハーモニック
「ウエスト・サイド・ストーリー」からシンフォニック・ダンス バ―ンスタイン 1976 - YouTube
この曲には苦い思い出がありますよ( ;∀;) 思い出しちゃいました。
高校生の時、とある別の高校の吹奏楽部の定期演奏会に参加した(強制参加させられた⁈)ときに、この曲も演目に入っていました。私はスネアドラム(小太鼓)担当だったような...
高校生の私にとって、この曲の第一印象は、
なんじゃこの超絶難しい曲は!!!
体験したことない変拍子の嵐!!!
演奏していた当時は、「ツライ」だけのシンフォニック・ダンスでしたが、改めて聴くと、まあなんとも、
かっこいい曲だわあ~‼
しかし、このニューヨークフィルの打楽器パートのおじちゃん、
めちゃくちゃかっこいい! v( ̄Д ̄)v イエイ
特に、11:00あたりからの “マンボ” のパート。金管がまるでジャズ演奏みたいに吹き鳴らしながらの打楽器との掛け合い!めちゃかっこいい!
この「シンフォニック・ダンス」はウエストサイドストーリーの劇中に流れる曲のダイジェスト版、みたいな楽曲です。なので、これを聴けばウエストサイドストーリーの名場面は大体網羅できる...みたいな。
でも、有名な「アメリカ」がこの曲には入ってないんですよね。
West Side Story – Cast 2021 - America (From "West Side Story")
West Side Story – Cast 2021 - America (From "West Side Story")
こちらの動画は、2021年のスピルバーグのリメイク版からです。
この「アメリカ」は、プエルトリコからの移民の女の子たちがアメリカの良いところ、同じく移民の男の子たちはアメリカの悪いところを、韻を踏みながら歌い合う、という名場面です。
(女の子)I like to be in America. わたしはアメリカに住むのが好き。
(女の子)Everything free in America. すべてが自由。
(男の子)For a small fee in America ちょっとお金を払えばね。
(女の子)Skyscrapers bloom in America. 摩天楼が美しいアメリカ
(女の子)Cadillacs zoom in America. 高級車がぶんぶん走るアメリカ
(女の子)Industry boom in America. 産業で景気がいいアメリカ
(男の子)12 in a room in America. 12人で1ルームに住んでるアメリカ
なぜ、今の時期にウエストサイドストーリー?しかも、スピルバーグが?
と、思っていたのですが、改めてこの作品を読み解くと、気づかされました。
移民問題、人種間の差別、マイノリティの生きづらさ、格差社会...
現代の私たちにも、突き刺さってくる社会問題を描いている作品なんですよね。何年たっても、これらの問題が解決する時代にはなかなかなってないのですね。
自らもウクライナ系ユダヤ人移民2世として、アメリカで生まれ育ったバーンスタイン。
この作品の音楽を彼が手掛けたことは、自らのルーツや生き方、思いをこの作品に投影させていたのではないかな、と私なりに想像しております。
この作品がミュージカルとしても、映画としても、音楽としても、名作と言われる所以は、いつの時代にも通じる人間社会の問題を描いた総合芸術だからなのだと思います。